結海奏鳴曲
ひらひらと舞う結晶の向こう。そこは静かなる銀色の海。
生まれたばかりの灯は両の手で掬われ、遥かなる哀情とともに包まれる。
たとえこの身が果てるとも、決して凍てつかせはしない。
永久の誓いが放つ無量の光は、変わることのなかった世界に息吹をもたらした。
母性は飽くなき犠牲心。慈悲は寄り添う志。
滅びの定めに殉ずる温かなる瞳。それはまるで前世からの記憶のよう。
形のない答えを秘めたまま、今はだた揺り籠の中で泣き疲れて眠るだけ。
この鏡のような結海の路を、強き心とともに歩み始めるそのときまで。