疫病

私は某国で活動する新聞記者だ。

今、我が国では世界を巻き込んだ一大イベントが開催されようとしている。 成功すればその国益は計り知れず、逆に失敗すればその損害も計り知れない。

そんなタイミングを推し量るかのように世界は今、空前の恐怖に晒されている。

新種の疫病である。

しかし私はこの疫病の存在について、いささか違和感を覚えている。 理由は主に以下の三つである。

一つ目は、疫病の発生源。 二つ目は、疫病に対する世界の動き。 そして三つ目は、疫病の特性。

まず発生源についてだが、これは世界地図で見ればもはや我が国の隣国とさえ思えるほど近しい国である。 よって世界的な警戒レベルとしては、我が国は最も危険視すべき地域の一つとして認識されることになる。

世界機関も警鐘を鳴らし、世界各国も断固たる措置を講じるという状況のさ中では、もはやイベントどころではない。 つまりこの疫病によって最も経済的ダメージを受けることになるのは、他でもない我が国なのである。

そして世界の動きについてだが、先にも述べたようにかなりのパニックぶりとなっている。 この情報の時代でありながら、我が国においても様々なデマが横行。国内だけで無用の被害を次々に併発する始末である。 報道機関はこの状況を「〇〇ショック以来の~」というように喩えるが、まさにそれほどまでに異様な空気なのだ。

恐怖は人の本性を曝け出させるというが、まさに恐怖が人の結束力そのものに亀裂を生じさせるような、いわゆる集団ヒステリーとも取れる事態に近いのではないだろうか。

そして最後に、ここが最も重要なのだが、今回の疫病の特性についてである。

実はこの疫病、過去に流行したものとの序列で言えば、今のところ重篤化率や致死率についてはそれほど上位ではないという。 しかし潜伏期間が長くまた潜伏期間中に伝染するため経路の特定が難しいという特性があるのだそうだ。 もちろん新種であるということが一番であるが、それを差し引いても今回のこれはつまり人の恐怖心を煽る部分のパラメータだけが異様に高い、言うなれば「恐怖特化型」の病原体というような印象を受けないだろうか。

それにかこつけるかのように、世界機関の異常なまでの発生国への擁護、そしてあまりに二転三転する疫病の情報である。

さらにこの病原体はその特異性から見ても、そもそも自然界には存在しない、人工的に作られたものではないかという不穏な情報まであるのだ。 確かに発生源とされているのは、とある研究施設なのだという。

何か匂ってこないだろうか。 そう、ここで登場するキーワードが「バイオテロ」ということだ。

「バイオテロ」というとそれはまるで高い殺傷力があったり、触れるだけで障がいを生むような恐ろしいものを想像するかもしれない。 しかしサイバーテロのような行為が世界的に影響力を持つこの時代においては、恐怖で人々の信用を失わせるような「工作」でも十分に効果が期待できないだろうか。 むしろ強力な殺傷力などが検知されてしまえば、それは明確なテロ行為、戦争行為として世界から「悪」のレッテルを貼られてしまうことにもなりかねない。 それでは本末転倒なのだろう。

共通の敵は団結力を生む。 それを避けるためにも、得体の知れない薄ら寒い恐怖をタイミングよく植え付けることによって、重要な決断を封じ間接的にダメージを与えるよう仕組むことが肝要なのだ。

ここで思い出してみてほしい。数年前にも似たような疫病が流行ったことを。 そのときの感染力や重篤化率、致死率といった脅威は、今回のものと比較にならないほど遥かに高いものだったはずだ。 それと比べてもなお、今回の世界的パニックが異様に大袈裟に引き起こされている印象を受けるのである。 先にも述べたように、報道機関が今回の状況を喩えるにあたり、わざわざ先の疫病ではなくそれよりもさらに昔の「〇〇ショック」を用いていることからも裏付けられるだろう。

そもそも彼の国は疫病の情報を露呈させるタイミングを調整した節すらある。何しろ人命を奪ってまでその口封じを強行したのだ。 そして一時的にでも世界機関と癒着することで、自然と世界中の警戒心を煽るための発言力を拡大しようとする戦略もまた垣間見えてくる。 直前に控える世界的イベントを決行するか否か、その決断のタイミングに合わせて「運悪く」世界を恐怖のどん底に陥れようとする、まさにそんな絵図が見て取れるのだ。

もちろん開催直前のドタキャンということになれば、言うまでもなくその損害は最大化する。 この疫病にかかわる一連の騒動は、つまりはそれを狙って仕組まれた壮大なシナリオなのではないかと推察せざるを得ないのである。

悲しいことに我が国と彼の国とは現在の情勢的に、決定的に相容れない部分がある。 世界の勢力図的には、お互いに脅威の存在と位置づけざるを得ない側面を持つのが現実なのだ。

今回の一件による彼の国への直接的な国益はないのかもしれない。 しかし我が国の損害そのものがその勢力図を塗り替えるための壮大な計画の一部として組み込まれていることは、もはや疑いようもない事実なのであろう。

まさに肉を切らせて骨を断つ。 彼らはまだ脈々と続く戦国時代の渦中にいるのだ。

私の命もあとわずか。 どうか我が国よ、この危機を乗り切ってほしい。


【注意】あくまで架空のお話です(*´Д`)

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