コワい話

ホラーというか怪談というかちょっとしたコワい話を( *´艸`)

プリント

明日から夏休み。教室はすでに浮かれた空気。

担任が夏休みの心得と称してプリントを配る。 珍しく端の席から順に一人一人に直接配っているが、どうやら何も書かれていないらしく徐々にざわついていく。

とうとう僕のところにも来た。 受け取ってみるとそこには鉛筆書きの文字がびっしり。 上半分はよく意味が分からないイタズラ書きのような文章。 対して下半分は少しすっきりしていて、次のような一文が。

「〇〇は成績が悪いので特別課題。この数式を夏休みの間に覚えてくるように」

その下に一際大きく書かれているのは、まるで壁に描かれたスプレーアートのようにグネグネとうねる奇妙な文様。 そこだけ何度もぐりぐりと力を込めて書いたように異様に色が濃い。 よく見ると上半分に書かれたイタズラ書きも個々に筆跡が違っていて、まるで教室中のみんなが僕に宛てたメッセージのようにも見えてくる。

そんな矢先、どこからともなく一本の鉛筆が僕の机に投げ込まれる。 新品の削りたてのように見えるそれは、首のところだけが無残に引き剥がされていた。 誰の仕業? 思わず方々を見渡すと見る人見る人、全員がこちらをまっすぐに睨んでいて僕といちいち目が合う。 恐ろしさのあまり血の気が引いていき、思わず身をすくめる。

確かに僕は厄介者。 成績も悪いし運動もできないし、いつだって空気も読めない。 せめて面白いことをしようと考えても、空気が読めないから誰も笑ってなんかくれない。 何をされても息を殺してじっと通り過ぎるのを待っていることしかできない。

抜け出すチャンスは十分にもらった。理解している。

こんな僕を早く忘れたい。

明日から夏休み。どこへ行こうかな。


本当は夢メモだったんですが、よく考えると怖かったのでより怖くしてコワい話へ放り込みました。まあーこんな夢見ながら睡眠だけは良く取れたってのだけは幸いでしたね(*´-`*)

疑念

本当の敵を討つのが難しいから、代わり「でいいや」。

そんな気概で果たして粛々と昼行燈を装い絵図を描き、冷静に目的を最後まで成し遂げるなどということができるものだろうか。

行動と動機の隙間に、あまりにも大きなスケール感の乖離。

すでに誰の目にも明らかであろう圧倒的違和感。

第一声に政治的目論みでないと釘を刺す。 元自衛官の旨を強調する。 宗教、家庭崩壊による私怨と、絵に描いたような危険人物であるかのように声高に訴える。

犯行声明にしては余計な情報が多すぎると感じないだろうか。

一体何をひた隠しにしようとしているのかと疑念を抱かずにはおれない。

この時勢、情勢を鑑みるに、今後その遺志を継ぎ事が成就されることを最も煙たがるのは誰か。

想像するだけで薄ら寒いものが背筋に走らぬだろうか。

力で押せばそれ以上の力で押し返すものであるという、それはまさに柔の原理そのもの。

彼の国のように一人一人がすべきことに目覚め、数の力、民主国家の力で正々堂々と、自らの手で道を切り開いてほしい。

そう祈りを捧げずにはおれぬのです。


【注意】あくまで架空のお話です(*´Д`)

4:44に追われる

4:44。

ふと時計を見れば4:44。バッテリー残量が44%。 そんな経験は誰にでもあるだろう。いちいち気にしてなんかいられない。 気にすることさえなければ何てことはない。所詮そんなものは当たらない占いか心霊現象の類と同じ。

でもねぇ……何だか知らないけど4:44も44%も見飽きるほど目撃するんだよなぁ最近。 こうまで執拗に追いかけられちゃ、気にしない方が無理ってこともあるでしょ。

で、極めつけはこれ。

Google / © Google.com

ふとしたことから世界標準時を検索。そのあと続けてアメリカ時間を検索したら4:44ってさぁもう。 これはさすがにドン引いた。

……もうね、そこまでしつこく取り憑くならむしろこっちから捕りにいってやろうかと。

Current / © Current Mobile, LLC

つーわけでCurrentも巻き込んで完璧なやつを捕らえてやったよ! これでスッキリ!もう4:44なんて怖くもなんともないね!お守り代わりにゃこういうのが一番でしょ!こっちから喰ってやるっていうね!

……あー疲れた疲れた。


そんなこんなでCurrentを使い倒しているわたくしですが、ここで一曲、「Say What」なるチャンネルでたまたま出会った素敵なナンバーをご紹介(*´ω`*)

TONES AND I - DANCE MONKEY

独特のドラボイスで歌い上げる、これが実に心に響く一曲……気持ちがほっこりと和んでからの、最後はそのメッセージにどこかホロリとさせられます

PVではやっぱり華麗に助走付けたドライバーショットでティーだけすっ飛んだ挙句、怒ってクラブへし折ろうと膝でしならせるも、結局折れずにぶん投げるシーンが大好きすぎですね(*´▽`*)何度見ても笑ってしまう

ということでこのチャンネルの擬人化イメージは完全にこの曲のPVの衣装ということになってしまいました( ;∀;)

Currentをダウンロードしにいく

こういう出会いがあるからCurrentは重宝してます。こいつはただのお小遣い稼ぎアプリなんかじゃあない;つД`)

架空ホラーサイト

僕は「検索してはいけない」という類のホラーが大好きだ。

一時期、あるサイトが「検索してはいけない」として話題になったことがあった。 ブログ形式で綴られるそのサイトは、読み進めていくとやがて文章の表情が不穏になっていき、最後には赤い文字で呪いのメッセージが綴られているというものだった。 平成18年8月21日に某県の村で実際に起きた殺人事件で、被害者女性が亡くなった後に書いたとされるそのブログは、いつしか「検索してはいけない呪いのサイト」と囁かれるようになった。

しかし実はこのブログ、ある仕掛人による単なるホラーコンテンツであり、根拠とされた殺人事件も実はすべて架空だという。 最近になってどうもネット上で仕掛人本人がタネ明かしをしたらしい。

僕はその「呪いのブログ」の話を半ば信じかけていただけに、その話を聞いてほっとした反面、ちょっと残念な気持ちにもなっていた。

しかし殺人というものは必ずしも事件としてニュースに残るものばかりとは限らない。 実際に起きたにもかかわらず、どんなに調べても記録として出てこないこともある。

失踪したと思われていたある女性が平成18年8月21日というその日、某県の村で実際に殺害されていた事実が判明したのはそれから3年後だった。 あのブログの仕掛人がその後どうなったのかは、誰も知らない。


ホラー系に架空の裏設定ってよくありますけど、もし未解明なだけで実は本当にあった事件に一致してしまっていたら……?という話です(´・ω・`)

宝くじで1等が当たるより確率低いかもしれませんけど;つД`)

地雷女

白い肌に泣き腫らしたような赤い目、そして真っ赤な唇。 話には聞いていたけど、なるほどこれが噂の地雷メイクってやつか。 またの名をメンヘラメイクと言うらしい。

でも動画や画像ならまだしも、実際にその格好で目の前にいるってのはけっこうレアなのかもしれない。 よく見ると手首にもくっきりと切れ込みが見える。 要するに本当に病んでるんじゃないか……?

いや違う。 切った跡じゃない、まるでフィギュアの可動部分のような。 義手?

「私、地雷女なんです。」

初めて口を開いたかと思ったら、まさか自分で言うかなしかし。 見ればわかるし。

「小さいころに地雷を踏んで、手も足も頭もなくしちゃったんです。」


はい、地雷メイクのネタでした( *´艸`)

そんな言葉はU字工事チャンネルを見るまで吾輩も知りませんでした;つД`)

U字工事は世の中についていけているのか!?後編

ビジュアル系という言葉が流行った時代にこんなメイクをよく見た気がしますけど、それ言うと歳がバレるとかなのかな……

アイアンマーダラーズ

あの子は……いや、アレは人間じゃない。

シャツを大量の血に染めて興奮気味に息を切らす男。 赤子を抱きかかえながら、その様子を不安そうに見つめる女。

大丈夫、この子に必要なものはすべて揃ってる。 普通に暮らすんだ。俺たちは普通の家族として。

もう心配ない。

そのブロンドの美しい少女はとても賢く、また素直だった。 少しわがままに育ったのか時々癇癪を起こす性格だったが、それくらいは世間的にもよくあること。 両親からはとても将来を有望視され、そして何より愛されていた。

今年もいよいよ夏休み。今回は水晶湖という観光地にやってきました。 パパやママ、それに親せきのみんなも集まってバーベキューをお腹いっぱい食べようと、ずっと前からとっても楽しみにしていたよ。

実はユーチューバーとしても私、けっこう有名なんだ。 ほらほらこのお肉、今日のためのとっておきなんだって!美味しそうでしょ?

またパパったら、バーベキューはグリルとは違うなんて語り出して。その話はもう聞き飽きました! 親戚のおじさんたちはお酒飲んでるから笑ってくれてるけど、私とママはちょっと不機嫌。

もう酔っ払いたちは放っておいて、私ちょっと森の奥まで散歩してみます!キノコの見分け方を教えてあげる! ママに心配かけたくないから、あんまり遠くには行けないけどね。

あれ、何だろう?あそこに誰かいるみたい。 でもなんだかもやもやして見えづらいな。 あ、消えちゃった。おかしいな、幽霊だったのかな?

……よし、編集終わり!今日の動画をアップするよー! ねえママ、今日ね、森の奥で幽霊を見たんだよ?

翌日、ママとパパを連れて昨日幽霊を見た場所まで来てみたんだけど……なんか変なの。 お墓みたいなのがぽつんとあるだけ。

ねえアナタ、どうしてあの子のお墓が……ここにあるの?

なんだかママの様子がおかしいみたい。声が震えてる。

誰かの悪いイタズラ……にしては手が込みすぎてるな。

パパも恐い顔。一体これが何だって言うの?

まさかとは思うが、一応念のため確認しよう。

いきなりお墓を掘り始めるパパ。恐いよママ……

大丈夫、やっぱりこっちもただの箱だ。何も入っちゃいない。

その日を境にパパもママもなんだか様子がおかしいの。 声をかけても上の空だし、目を合わせてもくれない。ママもなんだか怒りっぽい。 どうしちゃったの?

それに私、毎晩おかしな夢を見るの。 あれは私なの?すごく私にそっくりな子が、黒い影に襲われて…… 私、血だらけになったその子とずっと目が合っているの。目が覚めるまでずっと。

恐いの。恐くてもう眠れないの。 でもママもパパも私の話なんか聞いてくれない。 パパはお酒に酔った勢い任せにいつも、俺たちは普通の家族なんだからいいんだ、気にするなって怒鳴って……ママとも喧嘩ばかりして…… どうして?どうしてみんなこんなに苦しんでるの……?

オワリニシテアゲタホウガイイノ?

そうだ、まずは私がパパもママも苦しみから解放してあげればいいんだよね。 この前見ちゃったんだから、パパが倉庫にステキなオモチャ隠してるの。 あ、このお面もカワイイな!

パパもママも、もう苦しまなくていいよ。

ほら、これでやっと静かに眠れるよね!良かった! でもパパは私と一緒にこれからもデートだよ? こうして髪に留めてあげて、と……あは、カワイイ! これで私たち、もう自由なんだよね?

これは躾だよ。わかってるね? はい……パパ……

この薄暗い地下室に繋がれてから一体どれくらい経つのか。 もう痛みもない。

ただ自分の目を自分で見てるのが不思議だった。 この左目は悪魔の目だよ。悪いものばかり見えるから、今日からパパが預かっておく。

頭蓋骨を深々と貫いたままになっている包丁からは、まだ赤いものが滴っている。 喉が渇いた……ママに会いたいな……

アナタ、どうなのこの子の左目は?

ああ、大丈夫。これで問題なく見えるようになるはずだ。 輸血後の拒絶反応もどうにか治まっている。

よかった……じゃああとは……

ああ、アレの始末だけだ。

地下室にエンジンの轟音が響く。 もう自分の悲鳴も聞こえない。

ママ、ごめんなさい……ごめんなさい…… 私さえ生まれてこなければ。

まわりの子と違うのは、わかっていた。

その泣き声はただか細く、か細く消えていった。

暗雲を切り裂く閃耀。 「地下室」を貫かんばかりの一筋の落雷とともに、運命の歯車が回り出す。

ここはどこ。 暗闇の中で目が覚めた。

冷たい水たまりから、重い体をゆっくり持ち上げる。 力が入らない。

手探りで近くの壁につかまると、スイッチを押したのか部屋に薄っすらと明かりが付いた。 ぼやけた視界の中で最後の記憶が蘇る。

パパ……ママ……私、まだ……

じゃらじゃらと切れた鎖を引きずりながら、光を求めて地上へ。

雨がそぼ降るその景色は、静かな田舎の一軒家。

懐かしいな。 パパもママも、元気にしてるかな。

その瞬間、再びあの悪夢が閃光のように襲ってくる。 頭が割れそうに痛い。

どす黒いものを吐き散らしながら、溢れる感情に涙が止まらない。 そうだった、パパもママも私が……

部屋の中は凄惨だった。 見たくなかったけど見ずにはおれなかった。

体中が悲しくてその血だまりの中に崩れ落ちる。 どうして……

地下室には、パパの形見があった。 私に会うときにいつも付けてたお面。それに……

そう。今度は私が、私を殺す番。

二つの仮面は、呪われたあの地へ集う。 かつての血塗られた惨殺事件は人々の記憶からとうに失われ、今ではもはや平凡な観光地となったはずだった。 しかし……

そう、このお墓。 私の幸せが奪われた場所。

自由はとても素晴らしいけど、どうしてもこいつのせいで眠れない。 もういい加減、消えちゃいなよ。

エンジンの轟音が共鳴し、重い黒鉄の音が交差する。

どうして……どうして、パパとママを殺したの?

はあ?あんたが私の幸せを壊したからじゃない! あんたこそ、いい加減私を恨めしそうに見るのはやめてよ!

お互い死ぬことのない体から、永遠の血しぶきが上がり続ける。

その左目で……私の左目で、パパとママの最期を見たのね?

あんたの左目!?

そう、あなたは私。私自身。 その体に流れる血も、私の血。 あなたは私の代わりに創られた、パパとママの理想のクローン。

私がニセモノだって言うの!? あんたなんかに……あんたなんかのどこにそんなことを言う権利が……

でもそれが真実。

ふざけるなあぁぁー! 私は私だ! オマエナンカジャナイ!

傀儡と指差された悲しみが、叫びとなって赤き夜を染める。

それからどれほどの時が経っただろうか。

もはやどんなに抉っても、どんなに切り刻んでも、消えることのない悪夢。 血の雨が無限に降ろうとも、どこまでも続くコロシアイ。 幾度となく引きちぎれては再生する体。

憎しみでは終わらない。

でも一つだけ、たった一つだけこの絶望の連鎖を止める方法、お互いの想いを遂げる方法があることを、二人は知っていた。

私たちはただ、ただ普通の家族として幸せに暮らしたいだけだった。 そう願えば願うほどに、運命の歯車が狂いゆく皮肉。

死ぬほどの痛みが果てなく繰り返されようと、声を上げてかき消してしまえば耐えられる。 なのにお互いの肌を、肉を傷つけ合うたびにこみ上げるその悲しみには、もうとても耐えることができなかった。

息を削る二人はやがて動きを止め、静かに向かい合う。 その手から黒鉄の凶器を落とし、目を合わせたままゆっくりと歩み寄る。

私たち、どこでどう間違えたんだろうね。

お互いに右手で相手の胸にそっと手を当てる。 そしてその手で一息に体を突き破り、お互いの心臓を握り合った。

それはまるで、時が止まったようだった。

……感じる? ……うん、お姉ちゃん。

温かい。

優しく閉じた目から涙がこぼれる。

パパ、ママ、ごめんなさい。 一緒に帰ろう。

懐かしいわが家へ。

惨劇の終止符。 それは親の血を浴びた体でお互いの心臓を握りつぶすこと。

ねえ、お姉ちゃん!みんなで食べるごはんはやっぱり美味しいね! ふふ、そうね!パパ、ママ、いつもありがとう!

二人で一つの名が刻まれた墓石の周りには、今も一面に花々が咲き乱れるという。

黒鉄の幽鬼

ママ、ごめんなさい……ごめんなさい……

その泣き声はただか細く、か細く消えていった。

まわりの子と違うのは、わかっていた。

私さえ生まれてこなければ。

一筋の落雷とともに、運命の歯車が回り出す。

ここはどこ。

暗く閉ざされた地の底から、ただ光を求める。

あれは私。

パパもママも、殺したのは私。

今度は私が、私を殺す番。

重い黒鉄の音が交差する。

傀儡と指差された悲しみが、叫びとなって赤き夜を染める。

私は私。

オマエナンカジャナイ。


という、2人のジェイソン物語( ;∀;)

二次創作だからあんまり膨らませないかもですけど(´・ω・`)

疫病

私は某国で活動する新聞記者だ。

今、我が国では世界を巻き込んだ一大イベントが開催されようとしている。 成功すればその国益は計り知れず、逆に失敗すればその損害も計り知れない。

そんなタイミングを推し量るかのように世界は今、空前の恐怖に晒されている。

新種の疫病である。

しかし私はこの疫病の存在について、いささか違和感を覚えている。 理由は主に以下の三つである。

一つ目は、疫病の発生源。 二つ目は、疫病に対する世界の動き。 そして三つ目は、疫病の特性。

まず発生源についてだが、これは世界地図で見ればもはや我が国の隣国とさえ思えるほど近しい国である。 よって世界的な警戒レベルとしては、我が国は最も危険視すべき地域の一つとして認識されることになる。

世界機関も警鐘を鳴らし、世界各国も断固たる措置を講じるという状況のさ中では、もはやイベントどころではない。 つまりこの疫病によって最も経済的ダメージを受けることになるのは、他でもない我が国なのである。

そして世界の動きについてだが、先にも述べたようにかなりのパニックぶりとなっている。 この情報の時代でありながら、我が国においても様々なデマが横行。国内だけで無用の被害を次々に併発する始末である。 報道機関はこの状況を「〇〇ショック以来の~」というように喩えるが、まさにそれほどまでに異様な空気なのだ。

恐怖は人の本性を曝け出させるというが、まさに恐怖が人の結束力そのものに亀裂を生じさせるような、いわゆる集団ヒステリーとも取れる事態に近いのではないだろうか。

そして最後に、ここが最も重要なのだが、今回の疫病の特性についてである。

実はこの疫病、過去に流行したものとの序列で言えば、今のところ重篤化率や致死率についてはそれほど上位ではないという。 しかし潜伏期間が長くまた潜伏期間中に伝染するため経路の特定が難しいという特性があるのだそうだ。 もちろん新種であるということが一番であるが、それを差し引いても今回のこれはつまり人の恐怖心を煽る部分のパラメータだけが異様に高い、言うなれば「恐怖特化型」の病原体というような印象を受けないだろうか。

それにかこつけるかのように、世界機関の異常なまでの発生国への擁護、そしてあまりに二転三転する疫病の情報である。

さらにこの病原体はその特異性から見ても、そもそも自然界には存在しない、人工的に作られたものではないかという不穏な情報まであるのだ。 確かに発生源とされているのは、とある研究施設なのだという。

何か匂ってこないだろうか。 そう、ここで登場するキーワードが「バイオテロ」ということだ。

「バイオテロ」というとそれはまるで高い殺傷力があったり、触れるだけで障がいを生むような恐ろしいものを想像するかもしれない。 しかしサイバーテロのような行為が世界的に影響力を持つこの時代においては、恐怖で人々の信用を失わせるような「工作」でも十分に効果が期待できないだろうか。 むしろ強力な殺傷力などが検知されてしまえば、それは明確なテロ行為、戦争行為として世界から「悪」のレッテルを貼られてしまうことにもなりかねない。 それでは本末転倒なのだろう。

共通の敵は団結力を生む。 それを避けるためにも、得体の知れない薄ら寒い恐怖をタイミングよく植え付けることによって、重要な決断を封じ間接的にダメージを与えるよう仕組むことが肝要なのだ。

ここで思い出してみてほしい。数年前にも似たような疫病が流行ったことを。 そのときの感染力や重篤化率、致死率といった脅威は、今回のものと比較にならないほど遥かに高いものだったはずだ。 それと比べてもなお、今回の世界的パニックが異様に大袈裟に引き起こされている印象を受けるのである。 先にも述べたように、報道機関が今回の状況を喩えるにあたり、わざわざ先の疫病ではなくそれよりもさらに昔の「〇〇ショック」を用いていることからも裏付けられるだろう。

そもそも彼の国は疫病の情報を露呈させるタイミングを調整した節すらある。何しろ人命を奪ってまでその口封じを強行したのだ。 そして一時的にでも世界機関と癒着することで、自然と世界中の警戒心を煽るための発言力を拡大しようとする戦略もまた垣間見えてくる。 直前に控える世界的イベントを決行するか否か、その決断のタイミングに合わせて「運悪く」世界を恐怖のどん底に陥れようとする、まさにそんな絵図が見て取れるのだ。

もちろん開催直前のドタキャンということになれば、言うまでもなくその損害は最大化する。 この疫病にかかわる一連の騒動は、つまりはそれを狙って仕組まれた壮大なシナリオなのではないかと推察せざるを得ないのである。

悲しいことに我が国と彼の国とは現在の情勢的に、決定的に相容れない部分がある。 世界の勢力図的には、お互いに脅威の存在と位置づけざるを得ない側面を持つのが現実なのだ。

今回の一件による彼の国への直接的な国益はないのかもしれない。 しかし我が国の損害そのものがその勢力図を塗り替えるための壮大な計画の一部として組み込まれていることは、もはや疑いようもない事実なのであろう。

まさに肉を切らせて骨を断つ。 彼らはまだ脈々と続く戦国時代の渦中にいるのだ。

私の命もあとわずか。 どうか我が国よ、この危機を乗り切ってほしい。


【注意】あくまで架空のお話です(*´Д`)

葛藤

さようなら。

私はカミソリを手首に当てた。

もうこの世に未練なんてないのだから。

いや、そんな風に思うのはもうやめるべきなんだ。

確かに考え方ひとつで幸せになれることもあるのかもしれない。

笑顔でいればきっと大丈夫。

生きていれば良いことだってある。

幸せな明日を信じて歩いていこう。

そんな私にあなたは言うでしょう。

やっぱり死んだ方がマシだよ。

でも私はもう決めたんだ。

奇跡を起こすことだってきっとできる。

コーヒーカップ

古い遊園地にはよくあった乗り物、コーヒーカップ。 最近は遊園地自体がめっきり数を減らしてしまったこともあって、ご存じない方も多いのかもしれない。

丸いトレーの上にコーヒーカップを並べたような形状で、お客さんはそのコーヒーカップに乗り込む。 動き出すとトレーが回転し、さらにその上のコーヒーカップもランダムに回るというアトラクションだ。 乗り物酔いしやすい人などにはあまりお勧めできない代物となっている。

僕は某遊園地に出かけたとき、久々にそのコーヒーカップを見つけた。 けっこう流行っているようで、カップルや親子連れなんかでなかなか賑わっている。

つい懐かしくてしばらくぼーっと眺めちゃったんだけど、そのうち何巡目かに変な親子が乗り込んできた。 変っていうのは僕のセンスが合わないだけなのかもしれないけど、とにかくなんか姿が普通じゃなかったんだよ。

赤と白のストライプ柄のぴっちりしたシャツに、銀色のロングスカートを穿いた母親と、緑の全身タイツみたいなのを着た子供。 二人ともやたら派手な黄色い髪色で、母親の方は頭のてっぺんにお団子でまとめた髪型だったかな。 そして何より異様だったのが、首がやたらと細長いってこと。

それなりに周りにも人がいたのに、意外とそういうのって誰も気に留めないものなんだよね。 でも僕はそれが何故かやたら気になっちゃって。 喩えるなら何と言うか、よくわからん前衛アートから飛び出してきた人みたいな、いわゆる奇妙な不気味さってやつだったな。

それでその親子も普通にコーヒーカップに乗っかって、子供はこう、逆向きに座ってカップの縁に手をかけるような形になって。 そのままブザーが鳴って回り出したんだ。

僕は何となくその親子を目で追ってたんだけど、ずっと見てると何か違和感を感じたんだ。

トレーが回る、カップも回る。 でもよく見ると、それに乗ってるその親子の首までぐるぐる回ってるんだよ。

しかも周りの乗客たちみたいに楽しそうに笑ってるっていうよりは、何かこう無機質にケラケラケラっていう感じの笑い方。 何ていうか、まるで機械なんじゃないかと思うような異質さ。

おいおい誰も気が付かないのかって、そのときは本当に背中がサァーってなるような変な孤独感を味わったよ。 そんなものをまさか僕だけが見たってのも何か薄ら寒いし、人に説明してもどうせ伝わらないんだろうと思ったから、そのとき咄嗟にスマホで動画撮影しておいたんだ。

コーヒーカップが終わると、その親子は普通にスタスタとどこかへ行ってしまった。

僕はそのあと普通に娘を連れて一日遊園地を満喫したわけなんだけど、結局その親子にはそれっきり会うことはなかったんだ。

つまりこれから見せるのはそのときに撮った動画ってわけなんだが。

僕も撮ってから初めて再生するんだけど、あの奇妙さは思い出しただけでも何だか鳥肌が立ってくるよ。

じゃあ再生。

慌てて撮り始めたから最初は手振れがひどいけど……ほらこれだよこれ、って。 えっ!?

見ると回転するコーヒーカップの中で、二つの首がずっとこちらを向いている。

うわ、何だこれ!

僕たちは凍り付いた。 カメラはずっとその親子を追っているので目が合いっぱなしだ。

しかも何かこちらに向かってぼそぼそと言っているようにも見える。 その瞬間、勝手にみるみる音量が上がりものすごい速さのお経のような不気味な声が爆音で鳴り響く。

うわああぁぁ!

何度押しても停止ボタンが効かない。音量も下がらない。 そして何故か画面から目が離せない。

これは、やばいかも。

視界がビビッドカラーになっていく。 やがてバツンッと真っ暗になった。

気が付くと僕は自分のベッドにいた。 夢だったのだろうか、妙に気分が悪い。

今何時だろう。

時計を見ると、昼過ぎ。 あれ?

時計の針がぐるぐると回り出す。 何だこれ。

視界そのものが回り出し、ビビッドカラーに染まっていく。

ただいまー!

出かけていたらしい妻の声でふと我に返る。 何だったんだろう……あの変な夢のフラッシュバックなのか。 いや、あれは本当に夢だったか?

妻が買ってきてくれたコーラでも飲むか。

ふとペットボトルの蓋を見た瞬間、勝手にぐるぐると回り出す。 おいおい何なんだよこれ。

またぎらぎらと色が濃くなり目が回る。おかしい。

僕は思いっきり首を横に振り、何とか正常に戻す。

ちょっと外の空気でも吸おう。

家を出て散歩中、ふと路駐してあった車に目が留まる。 なかなか渋いクラシックカー。

しかしそのタイヤを見た瞬間、またぐるぐる回り出し、あの変な発作が起こる。 自分で頬をぱんぱんぱんと叩き、正気に戻る。

完全に変だ。

僕はあのとき一緒に動画を見てたやつに電話してみる。

しかし彼はそんな動画を見た覚えはないという。 やはり夢だったんだろうか。一応そのときのことを一部始終説明してみる。

するとしばらく沈黙したあと、おまえ遊園地でその変な家族に本当に会ったのか?と急に声色が変わる。 あれはこの世のものじゃない。悪いことは言わんから今すぐお祓いに行ってこいと言う。

その言葉にすがるように僕はその足でお祓いに行った。 住職からは、回るものを見たり意識したりすることをしばらくは避けなさいと言われた。

だから僕の家にはアナログ時計が一切ない。 スクリューキャップの食品は買わないし、車が通ると今でも目を逸らすんだ。

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