夕日に染まる黄金色の落ち葉のふかふかな小道を友人と歩く。
いや、僕は歩いていない。
足を浮かせて幽霊のように浮遊しながらついていく。
これじゃまるで背後霊だ。
途中、錆び錆びでスクラップ寸前のミニクーパーが放置されている古びた民家があった。
車が思わず気になって見ていると、庭の奥から立派な黒ひげを蓄えた顔の濃いおっちゃんが姿を現す。
車に詳しい友人はおっちゃんと何やら難しい話を始めたので、僕は一人で民家の方にお邪魔して、玄関先でポツン。
居眠りしちゃってたのか、気が付くと周りで母娘っぽい二人が何か作業をしている。
友人の姿はなく置いてけぼりかと焦ったが、外の車の陰のところで二人はまだ話をしているようだ。
そろそろ帰らなきゃなんて思ってたら、傍で作業してたお母さんらしき人が僕に何かレジ袋のようなものをよこす。
それを下げて外に出ると、友人は話を切り上げ名残惜しそうに会釈して別れる。
また小道をトボトボと二人旅。
僕は相変わらずふよふよと器用に体を浮かせてついていく。
もらった袋の中身は紫色のうまそうな果物が一杯。
何てったっけな、確かこれはアケビ?
田舎の駅前に到着。
学ラン姿の学生たちが友達同士で和気あいあい。
何だもう朝じゃないか。
徹夜で話し込んでいたんだ。
明日も仕事だし、今日はもうタクシーで帰ろうか。
駅前に古びた旅館があった。
あそこでタクシーを呼んでもらおう。
入ると薄暗いカウンターに女将さんらしき人が一人。
タクシーを呼んでもらえないかと尋ねると、じろりとこちらを一瞥。
お金持ってるんですか?と渋る。
ええ大丈夫持ってますと再度頼む。
しかし、呼ぶだけでもお金かかりますけど大丈夫ですか?
と再びごねる。
そんな常識はわかってるから大丈夫ですよ。
話の分かる人いないんですか?
なんかすごい剣幕の修羅場になってしまった。
どこかの観光地の総合お土産売り場みたいな巨大な施設で食事を取ることになった。
おぼっちゃまくんの昴田先生みたいな人が出席番号順に席に着くように指示したので、僕も席に着く。
前の席からプリントのようなものが回ってくる。
一枚取って後ろの席へ回す。
よく見るとカルタの札。
これから隣の席の子とカルタをやるらしい。
苦手だなぁ。
うーわ全然勝てないや。
こりゃまいった。
ふと後ろの席を見ると大塚君が袋小路君と一緒に北斗の拳の替え歌で盛り上がっている。
ほーのぅおーがあっづぅっごっるぇー♪
正直意味不明な歌。
でも僕にもあんな友達がいないとアイディアが出なくてつまんないなーなんて。
正直彼らの楽しそうな笑顔が羨ましくて自分が悲しくなった。
気分を変えようと食事タイム。
周りはお店がいっぱいでどれを買おうか迷う。
一番近くは駄菓子売り場。
うまい棒にまずい棒に、コンポタ味だらけだ。
この辺にあるものは食べたことあるし、そもそもこれで食事にするのはさすがにちょっと物足りない。
もっとちゃんとした食べ物ないかなーと、施設の奥へと足を向ける。
お、ちょっと雰囲気が変わってきた。
このあたりはパン屋かな?
相変わらずビアホールみたいな高い天井で薄暗いけど、なんかちょっと高級感がある。
でもなーパンだとちょっとスカスカするし、もうちょっと何かないかな?
さらに進むと今度は屋台ラーメンのイートインスペース。
お、これこれ、このへんで探すとしよう。
激辛ラーメン店に濃厚味噌ラーメンの専門店に……チャーシュー自慢のガンガンボウズ?
なんかパワフルなのばっかりで気圧される。
もうちょっと歩くと今度はお好み焼きのテッパン屋さん。
なんか本当にお祭りみたいな雰囲気だなここは。
キョロキョロしながら歩いていると、細い上り坂のあたりで業務用のでっかいソースを運ぶ二人組に背中からぶつかられてしまう。
おっとごめんよーだって。
なんか僕、ここにいるの迷惑みたいだな。