時刻はそろそろ夕方。駅で電車を乗り換える。 景色はだんだん田舎になっていくが、このまま家に帰る前にもう一つくらい寄り道したい。 スマホで地図を見てみると、意外なところに焼きそば専門店を発見。 口コミもそこそこだし、ここに寄ってみよう。

「ほら、ここで降りるからね」

近くに座っていた子供連れの母親。どうやら僕と同じ駅で降りるらしい。 ドアが開く。初めて降りる駅だが本当に何もない。こんな時間からこんなところでやきそば屋なんて見つけられるのだろうか。

地図を見ながら田舎道を歩く。急に大通りに出て歩道橋を渡ったかと思うと、今度は山登り。 さっき電車の中で見た親子連れも別れては遭遇しを繰り返しながら、なんやかんやで同じ方向にずっと歩いていく。もしかして目的地一緒なんじゃ？

そんなこんなでウロウロしてたら時間もすっかり遅くなってしまった。もしかしたら閉店に間に合わないかもしれないな。 もうこうなったら明日出直すしかないかもしれないが、せめて店の場所だけでも確認してから帰りたい。 地図上では店はこの近くのはず。最後は人力に頼るしかないと、たまたま目の前にあった田舎の商店に飛び込む。

「いらっしゃいませー」 「あのーすいません、この辺に焼きそば屋さんがあるって聞いたんですが」

なぜかポケットから紙のYAHOO地図を取り出し、店員のお姉さんに広げて見せる。

「あー、この近くですよそれ。多分この辺ですね。でももう閉まっちゃってると思いますよ」

やはりそうか。だが等高線の入った詳細な地図で場所を示してもらったおかげで店の位置は確実に把握できた。 仕方ない、明日出直すとしよう。

そういえばさっきの親子連れは無事に店にたどり着けたのだろうか。