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朧の間 最新10件

イラスト・ノベルなどの創作物、ジェネレータやゲームで作ったものなど、最新10件です(^^)

雪月花 第一夜「雪宿り」

昔々のこと。 この山深い温泉地では、村から選ばれたもんが山奥の湯宿に居残って、冬の番をするという習わしがあったそうな。

ある湯宿では政右衛門という番のもんが一人で寝泊まりしとった。 その夜は、このあたりでは珍しい大吹雪。

「あーあ、今日は客などあんめえから、酒でも呑んでさっさと寝っけ……」

囲炉裏の火に温ったまりながらのんびりしとったところに、ふと誰かがドンドンと玄関の戸を叩く音が聞こえてくる。

「誰だぁ、こんな吹雪ん中……」

恐る恐る戸を開けてみると、そこには真っ白な着物に身を包んだ若い娘さんがおったそうな。

「道に迷ってしまいました……どうか今夜一晩、ここに泊めていただけないでしょうか……」

ごうごうと吹雪く中にぽつりとか細く立っとる娘さんが、どう見たって異様でならんかった。 男の足でもままならない山の中、しかもこの猛烈な吹雪の中を、こんな娘さんがたった一人で歩いて登って来たというのか。

なるほど、これはキツネかタヌキが化けて出たに違いない。

「あー、今日は誰も来ないと思ったから何の支度もないんですわ……ただ泊めてあげるだけならできっけども、里まで下りてみられた方が良いんじゃないですけ?」

「いえ、もうとても歩くことなどできません……ご迷惑とは思いますが、ただ泊めてくださるだけで十分ですので、どうか一晩だけ……」

あんまりにも哀れを誘ってくるもんで、政右衛門はとうとう断りきれなくなって、娘さんをうちに入れてやることにしたんだと。

客間へ通すと間もなく、休んだようで静かになった。でもその静けさがかえって不気味にも思えたそうな。

「あれがキツネかタヌキの化け物だったら何されっか……正体見せたらすぐにでも追い出してやんねぇと……」

そんなこんなでぐるぐると考えを巡らしていると、ばっちりと目が覚めてしまう。囲炉裏の火を前にどっかりと腰を下ろしたまま、政右衛門はその夜とうとう一睡もすることができなかったんだと。

まだ日も登らない早い時間、すっかり支度を整えた娘さんが奥から姿を現した。

「昨夜はありがとうございました。あいにく持ち合わせがありませんが、どうかこれをお納めください……」

そう言って差し出したのは、彼女が髪に挿していた氷のように透き通る髪飾り。それはもう見たこともない不思議な色で、こりゃあ売ればさぞ高値が付くに違いない、なんて思ったんだそうな。

外はすっかり吹雪も収まり、空は白ずみ始めとった。

「それでは……」

まだ青々と暗い雪の中を、娘さんはいずこともなく去っていった。

「良かった良かった。あれはキツネやタヌキの化け物じゃなかったんだな。」

長い夜がようやく終わって、ほっと胸を撫で下ろす。急に疲れがどっと出て、うんと背伸びをしながら大あくび。

「あーあ、今日は良い天気になりそうだなぁ」

夜明け空の向こうには、お天道様の光が輝き始めとった。

「それにしても今日は儲かったな。あの髪飾りは一体いくらくらいするもんなんだろうなぁ」

娘さんが置いてったあの不思議な髪飾りをもう一度よく見てみたくて、手に取って日の光にかざしてみた。 するとそれは見る間もないまま突然、キラキラと白い粉雪のようになって舞い上がり、そして消えてしまったんだそうな。

それから何日か経って、久々に宿の主人が様子を見に戻ってきた。 政右衛門は堰を切ったようにあの夜の出来事を語らずにはおれんかった。

しばらく黙って聞いとった主人だが、やがて神妙な面持ちでこう言ったんだと。

「そりゃあ……おそらく雪女というやつだろう。もしそのとき囲炉裏の火を消して寝てしまっていたら、お前さん今頃は……」

はじめは冗談かと思って聞いとった政右衛門だったが、主人の物言いがあんまりにも真剣なもんで、思わず全身から冷や汗が噴き出してきたんだと。

「キツネやタヌキの化け物の方がまだマシだったってか……」

この噂は間もなく近隣の村々に響き渡り、とうとうこの山にも雪女が出たって、みんなを震え上がらせたんだそうな。

……

翼舞う ゆきの門出に 降る涙

幾の想い夜 とくこともなし

……

「どうしてこんなことに……」

いつもどおり軽い気持ちで趣味のトレッキングに来ただけなのに、まさかの急な猛吹雪。 真っ白な視界の中で気付けば仲間の姿も消えていて、息も絶え絶えの中で偶然見つけた山小屋に、僕はどうにか逃げ込むことができた。

「うわ、スマホも圏外か……」

白い息を切らしながら小屋の中を見渡すと、奥に炭俵みたいなものが積まれている。 山小屋だからもしものときに暖を取れるように準備しておいてくれているのかもしれない。 しかし肝心の火を熾す道具が見当たらない。となれば、どれだけ燃料があってもただの「嫌味」でしかない。

冬山のサバイバル術なんてほとんど心得ていないけど、こういう場合はとにかく少しでも体温を逃がさないことが大事だろう。 防寒着はがっちり着込んでいるのでしばらくは大丈夫だと思うけど、とりあえず炭俵を積んで壁みたいなものを作って、その中で小さくうずくまってみた。 あまり意味がある感じはしなかったけど、気休め程度でもやらないよりはマシだろう。

山の天気は変わりやすい。きっとすぐに収まる。 こんなお粗末な対策しか取れなくても、所詮はその場しのぎ。

大丈夫、何とかなる。

……

そうやってどのくらいじっとしていただろう。 いよいよ体温が下がり始めたのか、頭がぼーっとしてきた。

外の吹雪は勢いを増すばかりでまったく収まる気配もない。 途中少しでも熱量を補給しようと、バックパックに用意していたシリアルバーを取り出してみるも、すでにカチカチに凍ってとても食べられたものじゃなかった。 そして相変わらずスマホも繋がる気配なし。

もはや奇跡的に見つけられて救助でもされない限り、本当にここで人生が終わる。 人生が終わる? いや、あり得ない! あり得ない……

……眠い。 まずい。

「寝たら死ぬ」なんて、映画か何かのセリフじゃあるまいし。

人はいつ死ぬかわからない。確かにそう。

でもだからって、まさかこんな予期しない形で本当に自分の身に降りかかることになろうとは。 一体何を間違えたのだろう? 別に本格的な登山というわけでもないのに、普通に誰でもやってるようなトレッキングでこんな状況になるなんてことがあり得るのか? いくら山の天気が変わりやすいと言っても、少なくとも今朝の天気予報では一日中快晴って言ってたし、それが急にこんな猛吹雪になって、しかもそこに一人ではぐれて閉じ込められるだなんて……「不運」で片づけるにはあまりにも納得いかない。 それでも「準備不足」だの「山を嘗めたあいつが悪い」だのって言われるのか? 僕が何か悪いことでもしたか?

今更考えたくもないけど、悲観的になるくらいなら悪態でもついてイライラしてるくらいの方がまだ頭が冴える気がする。

そう、生き残るためだ。

ギィィー……

その瞬間ふと、小屋の扉が開く音が聞こえた。

まさか本当にこのタイミングで救助が来たのだろうか。

幻聴じゃないはず。 僕は藁にも縋る思いで、伏せた顔を上げて扉の方を見た。

すでに視界が霞んでしまっていてはっきりとは映らない。 しかし確かに扉は開いていて、吹き込む吹雪とともに真っ白な人影のようなものが小屋の中に入ってくる様子が辛うじて認識できた。

「助かった……いや、あの世からのお迎えか?」

その瞬間、変に安心したのがまずかったのか、ふっと意識が途切れてしまった。

……

一面に咲く桜の中、懐かしいみんなの笑い声。

「だぁめ!この卵焼きは私のー!」 「ゆき姉、ずるい!」

今日は大好きなじいちゃんに連れられて、村のみんなでお花見。 僕とゆき姉はまたいつもの喧嘩。

「はる坊こそ、私の分の里芋食べちゃったじゃない!」 「だってゆき姉、ぜんぜん食べないんだもん!」

喧嘩するほど仲が良いだなんて、村の子供たちにもよくからかわれたっけな。

あの頃は子供同士で温泉に入ったり、春になればご神木の下でお花見したり……本当に本当に幸せだったのに。

そんな楽しげな風景が、一瞬にして真っ白な光に包まれて消えていく。

寒い。

これが死ぬっていうことか。

……

「ゆき姉……」

夢なのか現実なのかわからなかった。 生きてるのか死んでるのかすらも。

体が重い。 まるで強力な磁石か何かで全身が地面に吸い寄せられているような感覚だった。

僕はどうなってしまったのだろう。

薄ぼんやりとした意識の向こうに見える面影。 誰かが心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。

ダメだ、声が出ない。 再び意識が遠のいた。

……

次に気が付いたときは、真っ暗闇の中だった。 意識はだいぶはっきりしているように思う。 状況はまったくわからないが、どうやら僕は布団の中にいるようだ。 もぞもぞと動いてみると、体が鉛のように重いことがわかる。

暗闇を見つめながら考える。

あのとき山小屋で凍えそうになりながら一瞬だけ見えた白い人影。 おそらくはあの人が僕を助けてくれたということだろう。 とはいえ今は音もなく人の気配もない暗闇の中。 ここでじっと寝ていて良いものかもわからないし、とにかく状況を確認しなくては。

ふと目をやると、暗闇の奥に薄っすらと細い光が漏れていることに気が付いた。 どうにか体を持ち上げて、ふらつく足取りに気を付けながら、わずかな光を頼りに歩み寄ってみる。 はじめは半開きの扉かと思ったが、手で探ってみてもドアノブらしきものがない。 それに手触りが何となく紙のような感触……襖だろうか。

恐る恐る開けてみると、外が妙に眩しく感じる。 明るすぎるというわけではなく、単に目が光に慣れていないというだけだろうか。 こんな状態になるなんて、一体どれだけの間眠っていたというのか?

やがて目が慣れてくるにつれ、そこが小ぎれいな畳敷きの和室であることがわかった。

「どう見ても病院じゃないな……」

真新しいイ草の香り、上品な違い棚に、床の間にはお高そうな掛け軸とくれば、そこはまるでどこかのお屋敷の一室かのようでもある。 一体僕は気を失っている間にどこに運び込まれたというのか。 半分開いた障子窓の向こうでは、今も雪が深々と降り続いているのが見える。 片隅には見覚えのあるバックパックと、その傍らに服がきれいに畳んで置いてある。

「え、服……?」

思わず手で自分の体を触りながらよくよく見てみると、何か着物のようなものを着ていることに気が付いた。

「浴衣……」

もちろん自分で着替えた記憶なんてまったくない。 知らない間に誰かに着替えさせられたということだろう。 そう考えると、何とも言えない薄ら寒い気分が込み上げてくる。

とりあえず荷物の中から財布やスマホなどの貴重品だけを取り出して、次の間へ続くと思しき襖を開けてみる。 するとそこは左右に伸びる廊下。真っ赤な毛氈が引かれ、ほのかにお香のような匂いが立ち込めている。 相変わらず音もなく人の気配が感じられない空間は、部屋の中以上に森閑とした、少し冷ややかとすら思えるような空気が漂っていた。

見るとその廊下のちょうど右手奥の突き当りに、大きく「湯」と書かれた紺色の暖簾が掲げられているのが目に入った。

「やっぱりそうか……」

これまで目にしたものから何となく予感していたことだが、もう間違いない。 ここはどこかの温泉旅館なのだろう。

そう理解した瞬間、僕は妙な不安に襲われた。 というのも、実は今回のトレッキングに選んだルートには、いわゆる「曰くつきの怖い話」というのがあると聞かされていたからだ。

その昔このあたりには、とある小さな集落があったという。 名湯が豊かに湧き出でるその村は湯治客も多数訪れ、およそ山奥の秘湯とは思えないほどの賑わいぶりを見せていた。 何より村には古来から「湯の神を祭る厚い信仰」があり、湯の効能と相まってその神力にこそ高い治癒力があると、かなりの評判を轟かせていたらしい。 しかしその湯の神を祀っていた神社に仕える神主が、あるときから裏で邪のものと通じていたらしく、いよいよ神の怒りに触れたその村はついに激しい祟りに遭い、村人はその最後の一人に至るまで全員が凄惨な死に方をしたと言われている。 そんな村人たちの無念は今も癒えることなく宙を漂い、村があったとされる場所には密かに今も「泊まってはいけない呪われた温泉宿」が存在している……なんていう、実しやかな噂話。

もちろんそんな話の出どころはネット界隈だろうし、まさか今の状況と結び付けるにはあまりにも唐突すぎるのかもしれない。 しかし突然見舞われたあの不可解な悪天候と言い、今に至るまでがあまりにも不穏であるのも事実だ。 この妙な静けさも相まって、ついそんな話を思い出してしまっても無理はないだろう。

その瞬間ふと、後ろの首筋あたりにひんやりとした感触があった。 タイミングが悪すぎて心臓が飛び出しそうになるも、落ち着いてゆっくりと振り返る。

しかし相変わらずそこには人影もなくただ静まり返っているだけ。

「何なんだよ……」

一人で嫌な汗を流しながら完全に挙動不審な動きになっている。

しかしよく見るとそこには、およそ温泉宿らしからぬ妙な光景があった。

部屋の入口と思われる襖のようなのだが、何やら怪しげな札が貼られ、その頭上部分には注連縄があしらわれている。 そしてそれらは全体的に、まるでラメでも散らしたかのようにキラキラと輝いていて、この妙に冷たい空気はどうもその部屋の方から流れてきているような感じがした。

その異様な光景に、遠目から怪訝な眼差しを向けていると、突然その襖が音もなくすーっと開く。 中から現れたのは、清楚な感じの白い着物に身を包んだ女性。

「あ……」

瞬間的に目が合ってしまった。 まさかあそこから突然人が出てくるとは……完全に油断した。

「お体、良くなられたんですね……よかった」

そう言って、彼女は少し安堵したような笑顔を見せる。

僕はしばらく何も言えずただ唖然とする。 しかしすぐに、つまりこの人が僕を助けてくれたのだと直感した。 その瞬間、思わずたじろぐように一歩後ずさる。

「あ、あの……すみませんでした!この度はとんだご迷惑を……危ないところを、本当に助かりました!ありがとうございました!」

「い、いえそんな、お礼なんて……何もできませんでしたから……」

何はともあれ一命をとりとめここまで回復できたことに、僕は土下座せんと言わんばかりに切々と感謝の意を述べた。 彼女はひたすらアセアセと謙遜ばかりしている。

しかしお礼を言っているだけじゃ何もわからない。次は聞くべきことを聞かねば。

「それでその……状況が何もわかっていなくて恐縮なんですが、ここは一体どこなんでしょうか?」

「あ、えと、当館は『湯庵 雪月花(ゆあん せつげっか)』と申します。神里温泉(かむりおんせん)にある一軒宿なんです」

「神里温泉……ですか……」

毎度のようにトレッキングの帰りに寄るということもあって、このあたりの温泉はけっこう知っているつもりだったけど、そんな名前は聞いたことがない。

まあいいや。とりあえず今いる場所がわかれば大体の状況は伝えられるだろう。早速方々に連絡しなければ。 まさか身内じゃあるまいし、奴らから捜索願が出されてるなんてことはないだろうけど、まずはトレッキング仲間への連絡と、あとは職場……それと一応救急隊を呼ぶことにしよう。 こんな山奥だとヘリとかになっちゃうのかもしれないけど……何しろ低体温症で死にかけたんだから念のためだ。

早速スマホを取り出すのだが、まずは日付を見て驚いた。あれからもう三日も経っているようだ。 そして肝心の電波だが、あの山小屋のときと同様、相変わらず圏外のままだった。

「あ、すいません……どうもスマホが繋がらないみたいで……宿の電話をお借りできないでしょうか?」

「電話……」

「あ、えーと、部屋にありましたっけ?」

「いえ、その……ないんです……電話」

「え……」

「すみません……」

……なるほどそう来たか。

確かにこれまでにもそういう温泉宿に泊まったことがあるにはあった。 でもそれはいわゆる、いかにも山小屋的な宿だったからまだ納得できた。 いくら山奥だと言っても、これだけちゃんとした造りにしておきながら電話が繋がっていないというのは、いまどきちょっと珍しい気もする。

まあ、ないものはないんだから文句を言っても始まらない。 しかしそうなると、連絡手段はどうしたものだろう。

「例えば郵便とか……出せるところはないですか?」

「いえ、それも……」

もはや完全に外界とはシャットアウトされているということみたいだ。 これはもうどうしようもない。何とか自分の足で麓まで帰るしかない。

しかしこうして閉じ込められたような形になってしまうと、改めてあの「泊まってはいけない温泉旅館」の話が頭をもたげてくる。 早いところまともに動けるようになって出ていかないと、まさかとんでもなく恐ろしい目に遭うなんていうことになったりして。

ついそんな話を思い出してまた不安な気持ちになったかと思うと、不意に腹の虫が鳴る。 静かな廊下だけにけっこうな音が響いてしまった。 そういえば三日も寝たきりで飲まず食わずだったんだっけ。

「あ……そうですよね、お腹すきましたよね……では何か温かいものでもお作りして、お部屋にお持ちしますね」

そう言い残すと、彼女はパタパタと小走りに行ってしまった。

仕方なく部屋に戻って、座椅子にもたれかかりながらスマホをいじる。 しかし当然のようにネットも繋がらないから地図も確認できないし、現在地もよくわからない。 そもそもこの旅館、住所もないとか言い出すんじゃないだろうか?

食事を振舞ってもらえるというのはありがたいが、一体何が供されるというのか。 怖い話によくありがちなヤバい食材とかだったらどうしよう。

しかしそうは言ってもこの状況、何かしら口にしなければまともに歩けるようになる気がしない。 ましてやこの雪山をまた歩いて下りるなんてことになるならなおさら、きちんと体力を回復させる必要があるだろう。 また遭難などしようものならそれこそ元も子もない。むしろ次こそ命はないと思うべきだ。

「お待たせいたしました」

しばらくして、彼女が部屋に戻ってくる。 手に持ったお膳には何やら土鍋のようなものが乗っているようだ。 蓋の穴からはほこほこと勢いよく湯気が出ている。

「当館自慢の飲める温泉で炊いたおかゆです。お口に合いますかどうか……」

目の前にお膳を置き、土鍋の蓋を取る。 もうもうと煙る湯気の中から現れたのは、真っ白で艶のある、ふっくらと仕上がった白粥。

大丈夫、ただのおかゆ。何も問題ない。 さっきまでのくだらない疑念なんてもう全部撤回。 ヤバい、めっちゃ良い匂い。

「熱いですから気を付けてくださいね」

そう言われても無理。もはや完全に食欲全開。 木べらでおかゆを椀によそって、軽くふーふーして、やけど覚悟で一気に頬張る。

美味い。 美味すぎる。

ただのおかゆがこんなにも美味いと思ったのは初めてだ。 箸休めの梅干しも甘味があってたまらなく美味。 そして鍋の傍らに添えられた真っ黒な温泉卵。 よそったおかゆの上に割って、そしてまたそれらを掻き込む箸が止まらない。

空腹は最高の料理人とはよく言ったものだ。 よもやその言葉をこれほどまでに思い知らされることになろうとは。

気付けばあっという間に完食してしまっていた。

「美味しかったです……ごちそうさまでした」

「お口に合いましたようで何よりです」

そう言うと彼女はおもむろに改まった様子で姿勢を正す。

「申し遅れました。私、当館『湯庵 雪月花』の女将で、白咲 雪音(しろさき ゆきね)と申します」

え……この人、ここの女将さんだったのか。 どうりでずいぶんきちんとした身なりをしているわけだ。 年齢的には僕と同じくらいに見えるのに……

慌てて僕の方も着崩れ気味だった浴衣を直し、正座して向き合う。

「あ、すみません、僕は一応その……乙鬼 葉流(おとぎ はる)と言います。改めて今回は助けていただいて……」

「あ、いえいえ、それはもう……どうかお気になさらず」

冗談で言ったつもりではなかったのだが、心なしか和やかな雰囲気が流れる。

「こんな宿で大したおかまいも叶いませんが……どうかご無理をなさらず、ごゆるりとお体を治されてくださいね」

そう言うと彼女は食べ終わったお膳を下げつつ、部屋を出ると静かに襖を閉めた。

ふと見ると外はすでに薄暗い。 久々の満腹感に、まるで睡眠薬でも飲んだかのようなとてつもない眠気が襲ってくる。 まだ病み上がりとさえ言えない病中の体……このまま座椅子で眠りこけてしまったら体に毒だろう。 もはや眠ること以外何も考えられないまま、僕はふらふらと奥の間の布団に戻る。

そして暗闇の中、すぐに意識は途切れてしまった。

雪はまだ、静かに降り続いていた。

架空ホラーサイト

僕は「検索してはいけない」という類のホラーが大好きだ。

一時期、あるサイトが「検索してはいけない」として話題になったことがあった。 ブログ形式で綴られるそのサイトは、読み進めていくとやがて文章の表情が不穏になっていき、最後には赤い文字で呪いのメッセージが綴られているというものだった。 平成18年8月21日に某県の村で実際に起きた殺人事件で、被害者女性が亡くなった後に書いたとされるそのブログは、いつしか「検索してはいけない呪いのサイト」と囁かれるようになった。

しかし実はこのブログ、ある仕掛人による単なるホラーコンテンツであり、根拠とされた殺人事件も実はすべて架空だという。 最近になってどうもネット上で仕掛人本人がタネ明かしをしたらしい。

僕はその「呪いのブログ」の話を半ば信じかけていただけに、その話を聞いてほっとした反面、ちょっと残念な気持ちにもなっていた。

しかし殺人というものは必ずしも事件としてニュースに残るものばかりとは限らない。 実際に起きたにもかかわらず、どんなに調べても記録として出てこないこともある。

失踪したと思われていたある女性が平成18年8月21日というその日、某県の村で実際に殺害されていた事実が判明したのはそれから3年後だった。 あのブログの仕掛人がその後どうなったのかは、誰も知らない。


ホラー系に架空の裏設定ってよくありますけど、もし未解明なだけで実は本当にあった事件に一致してしまっていたら……?という話です(´・ω・`)

宝くじで1等が当たるより確率低いかもしれませんけど;つД`)

東風吹かば

東風なのに純和風。聴けば聴くほどそうなってしまう不思議

Tong Poo

アレンジ一つでこんなにも「気付き」をもたらされるものなのですね。映画で言うところのいわゆる「本が良い」ということと同じなのでしょうか( ˘ω˘ )

誰しもが中国のイメージしか持っていなかったであろうこの曲に、よもやこれほどの「和」が潜んでいようとは;つД`)

これはつまり大陸と日本の、切っても切れない遺伝子的な繋がりのようなものの存在を証明しているかのようでもありますね( ;∀;)

忙しく激しくすると大陸的になり、ゆったりと語るように奏でると日本風に化けるこの曲。和楽器で演ってるからというわけではない気がします。つまりそもそも「そういうもの」というか

改めて、時代劇のBGMに意外と和楽器が使われていないという事実にも重なりますね(*´Д`)

キーワードは「神話ともののけ」「昔話」「風化」とかでしょうか。土に眠り時代に眠り、そうやって千の風になってゆくのでしょう(´;ω;`)

まんが日本昔ばなし 佐吉舟

ちょうど同時にこんな話を見ていたものだから、ひとえに昔話とて悠久とばかりは限らない、どこか不穏なものを感じてしまうのかもしれません(;^ω^ )

しかしその不幸、人間の弱さにこそ目出度き、愛でたきものがあるのやもしれません。ちょっと何言ってるのかわかりませんけど;つД`)

健康的不健康( ˘ω˘ )

けっこうふざけた感じのようでいて、聞き方によっては皮肉たっぷりな気がしてくるちょっと怖いこの一曲(´・ω・`)

一見すると青空の下で爽やかに健康的にみんなして体操しているだけなんでしょうが('ω')

Taiso

イメージとしては「画一的健康美」「量産型教育」「ラジオで体を操る」という感じでしょうか。今となっては一部サブカル界で一昔前に出がらしたような問題提起なのかもしれませんが(*´Д`)

イメージカラーは白、スカイブルー、濃紺といった当時の体操着カラーの風景とかですかね('ω')

本気の土下座を迫られる夢( ;∀;)

ここは古い学校か。 バタバタと廊下を駆け回り、やっと見つけたトイレに座る。 ふと床を見ると、まるで工事中の足場のように網目状に透けている。 はるか下には大きな川が流れ、その河川敷を歩く先生の頭が見える。

呆気にとられるや否や、個室が急にロボットのように歩き出す。 やばい、ここは使っちゃいけなかったんだろうか? 振り落とされないようにしっかり捕まりながら何気なく小窓の外を見ると、学年主任の先生がいるのが見えた。

「お前も入っちまったか。それはそういうモンなんだよ。うまく乗りこなせよ。」

そう言っているような目でこちらを見ていた。

校内を一回りしてやっと動きが停まる。 恐る恐る外に出ると、小さな女の子が黄色いおもちゃの飛行機で遊んでいた。

「まずい、早く戻らないと現場は大混乱だ。」

教室に戻ると先ほどの学年主任と、あと校長?いや、菅総理?が、何やら物々しい気配で言い合っている。

「とにかく黄色いスマホを探せ!今は一刻を争う!」

最後にそう言っていたのだけははっきり聞き取れた。 そのほかにも何やら言っていた気がするが、よく覚えていなかった。

よし、とにかく学校中を探してこよう! 俺に任せてくださいよ先生!

そんなこんなで全員一旦解散。 たまたま自分と校長は同じ方向へ。 教室を出た途端、生徒がわらわらと校長のもとへ詰め寄ってきて、何やら提出物を渡そうとする。 こんな時でもその一つを律儀に受け取って、内容を確認。 そしていきなり激怒しだす校長。

「だからこれじゃあ私が全部やらなきゃならないだろうが!まったくこんな時に何考えてんだ!」

怒鳴りながらもしぶしぶその提出物の処理を優先する校長。 ここは俺に任せてくださいよ、と心の中でつぶやく。 何しろ俺には心当たりがあった。 おとんのスマホだ。

渡り廊下の先の昇降口でおとんと落ち合う。 黄色いスマホの話をすると、不思議そうにこう言う。

「本当にそれだけでいいのか?」

とりあえず黄色いスマホを受け取ると、俺は一直線に最初の教室に戻る。 何か忘れているような気がする……しかし思い出せない以上、とにかくまずはこれを持っていこう。

教室に着くと、すでにみんな揃っていた。 俺は恐る恐る黄色いスマホを主任に差し出す。

「おう、ご苦労だったな。しかし黄色いおもちゃの飛行機はどうした?」

それだったか……しまった、完全に忘れていた。 俺はすぐさま土下座して謝った。 目など開けられない、真っ暗闇の中でひたすら許しを願う。 するとさっきの件もあってか、まだ怒りが収まらないと見える校長が近寄ってくる。

「おう、お前どこ見てんだ?目をつぶってても瞼の中の目ん玉がどこを見てるかでその土下座が本気かどうかわかるんだよ!」

そう言って無理やり引き起こされ、瞼をこじあけられた。

「下民が!」

どうすればいい?何もわからないまま床に叩きつけられる。 いや、こんなことをしていても埒が明かない。 主任がきっと助けてくれる。

しかし淡い期待を裏切るようなドス黒い主任の声が聞こえた。

「本気出せ。」


いやぁ終わり怖けりゃすべて怖い!そういうもんです夢ってのは( ;∀;)

しかしなんでまたこんな夢を見たかなぁ……どうして校長は菅総理だったのかなぁ……夢の中では柄にもなくキレまくってましたよ。あー怖かった( 一一)

謎の寿命ゲーム(´;ω;`)

そのゲームには2つのエンディングがあると聞いていた。 高層ビルの1階からエレベーターに乗り込み、50階で降りるとそこには寿命が50歳の「庶民」がたくさんいて、1つのエンディングを迎える。 もう1つは100階。そこにいるのは寿命が100歳の「大富豪」。もう1つのエンディングとなる。 しかしその2つのエンディングを見た後に再びロードしてエレベーターに乗り込むと、なぜか80階で降りることができてしまう。 バグなのか、降りても誰もいない。もう一度エレベーターに乗り込もうとすると、開いた扉の向こうは真っ暗闇。 そこに転落して謎エンディング、という不気味なもの。 それを見た僕は、このゲームを教えてくれた群馬出身の後輩にこのことを話したくて仕方ない。 温泉旅館のロビーの下駄箱のところでたまたま会ったので、興奮気味に得意げに話しかけると、「ああ、知ってますよ?」と普通に返される。 怖い思いをしてちょっとマウント取れると期待したのに、拍子抜けの気分になってしまった。

翌朝、温泉街のお店でおみやげを買い込んでから車に乗り込み、いざ次の目的地に向かって出発。 ちなみに買ったのは「絶品プリン」と、あと名前が思い出せない何とかプリンという2種類。 両方ともプチプリンのように一口サイズのパックに入った駄菓子系プリンだ。 どこか景色の良いところに行って食べようぜ。

おや、この道はずいぶんと登り傾斜がきつい。 ローギアに落として踏ん張るように進む。 一度止まってしまったら発進できないかもしれないと思った矢先、あれよあれよと車が止まってしまう。 ギアをガチャガチャしながら発進を試みるが、少し進んでは後ろに下がって行ってしまう。 危ないなぁ……でもなんとか頑張って発進できたので一安心。

目の前に急にでかい富士山のような山が見えてくる。 今回は東北地方の旅だったはずなのに、どうして富士山? でもよく見ると形は富士山そっくりだけど、ゴツゴツした岩山のような質感だ。

山を見ながら走っているうちに、なぜかスーパーゼビウスを思い出す。 どこか停まれる良い場所はないかな? ぜひあの山を眺めながらプリンを食べたいんだが。 いつの間にか、ラジコンヘリのような視点から景色を見下ろしている。 下のグラウンドでは草野球の練習をしているのか、やたらと打球が飛んできて危ない。

そうこうしているうちにある食堂を見つけた。 その2階の廊下からの眺めが最高だ。 ベランダがあるようなのでガラス戸を開けて腰かけて、足を延ばそう。 ふぅ~疲れた。 さっそくプリンを取り出して、食べる前に山の眺めを背景に写真を撮りたい。 鉄格子が入らないようにあれやこれや構図を考えていると、あとから来たおばちゃんたちがベランダをわらわらと陣取ってしまう。 ああもう、これじゃ写真が撮れないじゃないの……がっかり。 ま、いっか。


という夢うつつでした;つД`)

なんか夢の内容をはっきり記憶できたのも久しぶりのような( ˘ω˘ )

最初のゲームのくだりは、やれ自分の寿命を意味してるんじゃないかとか、いろいろ妄想して恐ろしくなっていたような気がしますが、結局その後輩くんのあっさりした一言にサクッと推し負ける形で、疑問の一つも全然共有できないまま、まぁいいかみたいにふわっと忘れましたよ

しっかし最近めっきり涼しくなって寝心地は良いはずなのに、なぁんか早い時間に目が覚めちゃって困るんですよね~;つД`)歳のせいかな

地雷女

白い肌に泣き腫らしたような赤い目、そして真っ赤な唇。 話には聞いていたけど、なるほどこれが噂の地雷メイクってやつか。 またの名をメンヘラメイクと言うらしい。

でも動画や画像ならまだしも、実際にその格好で目の前にいるってのはけっこうレアなのかもしれない。 よく見ると手首にもくっきりと切れ込みが見える。 要するに本当に病んでるんじゃないか……?

いや違う。 切った跡じゃない、まるでフィギュアの可動部分のような。 義手?

「私、地雷女なんです。」

初めて口を開いたかと思ったら、まさか自分で言うかなしかし。 見ればわかるし。

「小さいころに地雷を踏んで、手も足も頭もなくしちゃったんです。」


はい、地雷メイクのネタでした( *´艸`)

そんな言葉はU字工事チャンネルを見るまで吾輩も知りませんでした;つД`)

U字工事は世の中についていけているのか!?後編

ビジュアル系という言葉が流行った時代にこんなメイクをよく見た気がしますけど、それ言うと歳がバレるとかなのかな……

よく響く金属音のツッコミが入りそうなコミカルさ

西部劇な感じの荒野を行く疾走感YMOらしいくすぐったい遊び心がスパイスとして効いている名曲( *´艸`)

アナログなイメージの音色なのに、このふざけた感じにいかにもテクノを感じる不思議( ˘ω˘ )

Multiplies

アルバムタイトルにもなっている「増殖」という言葉を体現するかのように、後半にかけてワラワラと増えていく「ッホイッホイ」という掛け声がシュールすぎですね(*´ω`*)

イメージカラーは荒野らしい茶色とか夕陽のオレンジとかでしょうか。ワードとしては「疾走する細菌」「こそばゆいスピード感」という、なんかそのまんまな複合ワードになってしまいますね

重く顔のない集団( ゚ー゚)

それはまるでゾンビであるかのよう( ゚ー゚)

黒山の人だかりが大河のように一方に向かってゆっくりと同じ歩調で流れていくというシュールな景色が浮かびます( ˘ω˘ )

Mass

イメージする時間は夕方でしょうかねぇ……思い浮かぶキーワードは「もしゃもしゃ」「画一的大勢」「淀み」という感じでしょうか

カラーイメージは個人的にオレンジ灰色青緑などが浮かびます。どん深な水の流れのような雰囲気というか(´・ω・`)

あんまり感情がない人々をイメージします。ちょうどInsideというゲームに出てきた操り人形みたいな(^-^)

不思議な琴線に触れる名曲

昨今でこそいろんなホラーゲームやら何やらで、こういう皮肉に満ちた物語はよく目にする気もしますけど( ˘ω˘ )

一体どういう「ハッピーエンド」なのか(´・ω・`)

HAPPY END

バレエと並んで、これもまたオルゴールなんかにしたらぜったい悲しく響く曲ですよね;つД`)

音から受ける印象だと、メロディーのはっきりしたオリジナル版のこちらは「悲しく安らかな最期」「最期の物語」「くるくる廻る記憶」という言葉が浮かびます。相変わらず月並みな発想ですが( ;∀;)

色は黒ですね。安らかな黒一色( ^ω^ )

HAPPY END(BGM版)

対してアルバム版のこちらは「閉鎖的浮遊」「安楽死」みたいな感じでしょうか。いずれにしても何というか、悲しくも懐かしい妙な琴線に触れてきます;つД`)

プレイリスト
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